司法書士に聞いた!過払い金請求とグレーゾーン金利の関係

司法書士に聞いた!過払い金請求とグレーゾーン金利の関係

最近、テレビCMやネット広告でよく目にする過払い金請求。そもそも過払い金が発生する仕組みをご存知でしょうか?過払い金が発生する原因はグレーゾーン金利にあります。
過去に借金をしていたことがある人は、自分に過払い金が発生しているかどうか、気になるところだと思いますが、この過払い金とグレーゾーン金利の関係を知ることで、ご自身の場合はどうだったか当てはめて考えることができると思います。

先生っ!最近、過払い金請求のことを調べていたらグレーゾーン金利って言葉が出てきたんですけど、これって一体なんですか?

過払い金とは借金返済時に払い過ぎた利息のことだというのは知っていますね?
グレーゾーン金利というのは、過払い金が発生する原因になっていたもので、利息制限法と出資法で定められた上限金利の差分のことをいいます。

利息制限法?出資法?それってなんですか?

かつて、利息の上限を定める法律は2つありました。グレーゾーン金利を知るには、まずこの2つの法律についても知っていなければなりません。それでは詳しく説明しましょう。

グレーゾーン金利が発生する原因になった利息制限法と出資法

グレーゾーン金利とは、利息制限法と出資法で定められた上限金利の差分です。

利息制限法の上限金利は「貸付金10万円未満は年利20%」「貸付金10万円~100万円未満は年利18%」「貸付金100万円以上は年利15%」で上限金利を超えた貸付をおこなった場合についての罰則規定はありません。
出資法の上限金利は「29.2%」で上限金利を超えた貸付をおこなった場合は5年以下の懲役または1000万円以下の罰金となっています。

本来であれば貸金業者は利息制限法の上限金利を守って貸付をおこなわなければいけませんが、多くの貸金業者は出資法の上限金利29.2%で貸付をおこなっていました。なぜ出資法の上限金利が許されていたのかといいますと、貸金業法の第43条(みなし弁済)に「貸金業法第43条の条件を満たし、かつ出資法に違反しない範囲の金利の場合は、利息制限法の上限金利を超える金利も認める」とあり、グレーゾーン金利が認められていたためです。

みなし弁済が成立する条件
1、貸主である金融業者が貸金業登録業者であること
2、貸主が借主(債務者)に対して契約時に法定の契約書(17条書面)を交付していること
3、貸主が利息を受領したとき法定の領収書(18条書面)を交付していること
4、借主が任意に利息として支払ったこと
5、借主が利息と認識して支払ったこと

29.2%の金利は相当な高利で、返済のためにさらに借入をおこない、最終的には自己破産に追い込まれるケースが非常に多く社会問題に発展。そのため、2010年6月に出資法が改正され上限金利が利息制限法と同じ20%に引き下げられ、それと同時に貸金業法も改正され、違反すると営業停止処分という厳しい罰則が与えられるようになりました。法改正以前に払っていたグレーゾーン金利については、最高裁判所で「多く支払っていた利息は元本の返済に充当される」と認められました。元本以上に支払っていたグレーゾーンの利息は過払い金となり、最高裁判決により「過払い金請求」が可能となったのです。

グレーゾーン金利が発生していた期間はいつからいつまで?
グレーゾーン金利が発生していた期間は、貸金業法と出資法が改正される前の2010年6月以前で、法改正後に借入をおこなった場合はグレーゾーン金利は発生しません。
出資法の改正は時代とともにおこなわれ、上限金利は移り変わっています。

改正年月       金利
1954~       109.5%
1983/11/01~   73%
1986/11/01~   54.75%
1991/11/01~   40.004%
2000/06/01~   29.2%
2010/06/18~   20%


2010年6月18日の改正前の上限金利は過払い金請求の対象になりますが、過払い金請求には10年の時効がありますので、最後に取引をした日から10年以内の取引のみが対象になります。

どのくらい過払い金があるのか調べるには、利息制限法による引き直し計算をおこないます。
例えば、年利29%で100万円を借りて、1年間に29万円の返済を1回ずつしていたとします。この場合、1年間に29万円の利息が発生しますので、1年後に29万円を返済したとしても利息分しか返済していないので、元本がまったく減りません。
これを利息制限法の年利で計算し直すと、100万円の年利は15%なので、1年間に15万円の利息が発生します。29万円から15万円を引いた14万円は利息制限法に違反している分なので、元本を支払ったことになり残り86万円になります。この計算を繰り返しおこなうと下図のように過払い金請求ができる金額をだすことができます。

利息制限法による引き直し計算
グレーゾーン金利の支払いは、利息として支払ったのではなく、元本を支払ったこととして計算のやり直しができます。元本以上に支払っていた場合は、それが過払い金となり貸金業者に対して過払い金請求が可能です。

グレーゾーン金利を支払っていた場合は過払い金請求できるんですね。
じゃあ、今度時間があるときにやればいいんだ!

ちょっと待ってください!
過払い金請求には時効があり、時効が成立してしまうと過払い金は消滅してしまいます。

えー!過払い金請求って時効があるんですね。どのくらいの期間あるんですか?

過払い金請求の時効は最後に取引をした日から10年ですので、早めにおこないましょう。「過払い金請求と時効の関係」の記事もあわせて読めばより理解できると思います。

過払い金請求の時効、グレーゾーン金利はいつまで取り戻せる

過払い金請求は最終取引日から10年の時効があります。例えば、2005年8月8日が最終取引日だとすると、2015年8月8日に時効が成立し過払い金が消滅します。この最終取引日というのは、大半が完済日(最後に借金を払い終わった日)ですが、様々なケースで変わってきます。

同じ貸金業者から、借りては返しを繰り返している場合は、その取引が一連か分断かで完済日が変わるので、時効も変わります。
クレジットカードのキャッシング枠は、完済後にカードの年会費を支払い続けた場合、年会費を支払った日が最終取引日になる可能性もあります。
最終取引日の判断は素人では難しいので弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

グレーゾーン金利というのは利息制限法と出資法の差分の金利のことをいいます。貸金業法の第43条(みなし弁済)に「貸金業法第43条の条件を満たし、かつ出資法に違反しない範囲の金利の場合、利息制限法の上限金利を超える金利も認める」とあり、グレーゾーン金利が認められていたので、多くの貸金業者は出資法の上限金利で貸付をおこなっていました。

2010年6月に出資法が改正され上限金利が利息制限法と同じ20%になり貸金業法も改正されました。法改正以前に支払っていたグレーゾーン金利は最高裁判所で「多く支払っていた利息は元本の返済に充当される」と認められ、元本以上に支払っていたグレーゾーンの利息は過払い金請求が可能となりました。

実際にグレーゾーン金利が発生していた期間は、2010年6月の法改正前までです。しかし、多くの大手消費者金融や大手カード会社は2006年の最高裁判決を機に金利を利息制限法の範囲内に引き下げたので、目安は2006~2007年以前に借りていた期間。過払い金がいくらあるのか知りたい場合は利息制限法による引き直し計算で出すことができます。

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