個人再生とは? そのメリット・デメリットを徹底解説!

個人再生とは? そのメリット・デメリットを徹底解説!


意味:個人再生とは?

借金に苦しむ債務者を助ける手段である「個人再生」という名前を初めて耳にする人も多いでしょう。個人再生は債務整理の一種で、自己破産などと比べると認知度が低く、その内容に関しても知らない人がほとんどかと思われます。債務整理には大きく分けて、「任意整理」「自己破産」「個人再生」があります。

個人再生は、2001年4月からスタートした比較的新しい制度となっています。裁判所に具体的な返済計画となる「再生計画」を提出し、それが認められると借金を大幅に減額することができるという内容で、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2つの方法があり、それぞれで申立てをできる要件が定められています。

個人再生では、資産を売却して借金にあてるようなことをしませんので、任意再生と自己破産の中間にあるとされ、家や車などの処分したくない資産を持っている人が多く利用する債務整理となっています。

小規模個人再生と給与所得者等再生の違い

個人再生は裁判所を介して行うものですから、決められた条件(法律要件)を満たしていないと認められません。個人再生の手続きには、手続きの開始と提出された再生計画の認可、2段階での審査が行われます。さらに、小規模個人再生、給与所得者等再生どちらを行うかによってその条件や減額される金額が変わってきます。

小規模個人再生は、個人再生の基本類型となっており、債務者に将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、再生債権額(借金の総額)が5,000万円を超えない場合に行うことができる手続きです。裁判所に認められると、債務を5分の1程度に減額し、36回払い(3年間)という長期分割返済が可能になります。元々は小規模の個人事業主を対象とする制度でした。

ちなみに、借金の減額については、以下が基準となります。(民事再生法231条2項3号・4号)

債務が100万円以下の場合:債務全額
債務が100万円より多く500万円以下の場合:100万円
債務が500万円より多く1,500万円以下の場合:5分の1
債務が1,500万円より多く3,000万円以下の場合:300万円
債務が3,000万円より多く5,000万円以下の場合:10分の1

給与所得者等再生との違いは、大きく2つで、弁済金額と債権者の消極的同意の要否が挙げられます。弁済金額における違いとしては、何を基準にして返済金額を決定するかという点です。

小規模個人再生の場合は借金の総額で返済金額を決定しますが、給与所得者等再生の場合、債務者が支払える金額を基準に返済金額を決定します。具体的な決定方法は、定期収入から税金などを差し引いて返済にあてられる最大限の金額(可処分所得)を算出し、その金額を×24(2年分)したものが返済金額となります。なお、その返済金額は小規模個人再生で返済することになる金額(最低弁済額)より高くなくてはいけません。

もう1つは債権者の消極的同意の要否です。そもそも「消極的同意」とは小規模個人再生において個人再生対象の債権者の頭数の半数以上もしくは再生債権額の過半数を有する債権者が再生計画に異議がないという基準をクリアすることにより認可がおりることを指します。

逆に、基準数以上の異議がとなえられると再生手続が認可されずに終了してしまうのですが、給与所得者等再生の場合には、再生債権者の決議が行われないため消極的同意も必要ありません。

とはいっても、再生計画に異議をとなえると予想される債権者は限られており、政府系金融機関などが異議をとなえた過去がある程度です。小規模個人再生のほうがメリットが大きいために、基本的にはほとんどの個人再生は小規模個人再生が用いられています。

個人再生の認可を得るための条件

個人再生の手続きを開始するための条件は、以下の通りです。

・再生手続き開始原因があること(民事再生法21条1項)
・再生手続開始申立棄却事由がないこと(民事再生法25条)
・申立てが適法であること
・債務者が個人であること
・債務者が将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがある者であること(利用適格要件)
・負債総額が5,000万円を超えていないこと
・小規模個人再生を行うことを求める旨の申述をすること

さらに、提出した再生計画が認可されるためには以下の条件を満たしていないといけません。

・再生計画案が可決されたこと
・再生手続きに不備を補正できない重大な法律違反がないこと
・再生計画遂行の見込みがあること
・再生計画の決議が不正の方法によって成立したものでないこと
・再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反していないこと
・債務者が将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがある者であること(利用適格要件)
・再生債権総額が5,000万円を超えていないこと
・計画弁済総額が最低弁済額を下回っていないこと
・清算価値保障原則を充たしていること

難しく聞こえますが、要は債務者が個人で住宅ローンを除く借金総額が5,000万円以下、再生計画によって減額された借金を3年(例外的に5年の場合もある)で返済するための安定した収入を得られる人(定職についているなど)であれば手続きを開始できて、上記の条件を満たしており、整理する対象の貸金業者からの反対がなければ再生計画は認められるということです。ただし、過去に自己破産をしている場合には、自己破産から7年以上経過していないと個人再生をすることができませんので注意しましょう。

個人再生を選択することのメリット・デメリット

上でも説明しているように、個人再生は自己破産とは違って、借金の返済行為そのものは継続されます。しかし、任意整理や自己破産と比較してもメリットが多くありますので、それぞれの債務整理と比較した場合の個人再生のメリット・デメリットをみていきましょう。

(1)任意整理と比較した場合

任意整理とは、裁判所を通さずに貸金業者と直接交渉を行う方法です。任意整理での交渉内容は、利息金や遅延損害金の免除、任意整理後の金利のカットが一般的で、借金元本を減額することはできません。貸金業者によってはさらに長期分割での返済を認めてくれる場合もあります。

ただし、あくまでも債務者と貸金業者との任意の交渉になりますので、債務者が提示した条件をすべて承諾してくれるとは限らず、貸金業者によっては任意整理自体に応じてくれない可能性もあります。

個人再生と任意整理を比較した場合、メリットといえるのは強制力を持っていることと借金そのものを大幅に減額(原則5分の1)できることでしょう。デメリットとしては、裁判所に訴えを起こさなくてはいけないため、官報に名前が載り、人に知られる恐れがあることや、任意整理よりも手続きが難しいことが挙げられます。

(2)自己破産と比較した場合

自己破産とは、裁判所に申立人(債務者)の個人情報を記載した「破産申立書」などの書類を提出して、これが認められるとすべての借金の支払いが免除されるという手続きです。自己破産できるのは裁判所が支払い不能と認めた場合のみで、借金額や収入、資産などの状況から総合的に判断されます。そのため、誰でも手軽に自己破産ができるわけではありません。

さらに、資格を要する建築士や弁護士、会計士をはじめとした士業や会社役員など一部の職業に就いていると破産申立てができず、自己破産する場合には失業しなくてはいけません。そして、20万円以上の資産は処分して借金にあてられることになります。

個人再生と自己破産を比較した場合、メリットとしては、資産を処分しなくて済むこと、職業の規制がないこと、審査が厳しくないことなどが挙げられます。デメリットは、借金の返済行為が継続すること、安定した収入がないと手続きが行えないことなどがあります。

任意整理、自己破産、個人再生と、それぞれメリットもあればデメリットもあります。どの方法が適しているかは債務者や借金の状況によっても違いますので、一概にどの方法がいいとはいえません。重要なのは、自分に合った手段を用いることでしょう。

個人再生はどういう人におすすめ??

では、どのような人が個人再生に向いているのでしょうか。個人再生をする上でポイントとなるのは、上でも説明している(1)安定した収入がある、(2)処分したくない資産(家や車)がある、(3)士業や会社役員、でしょう。

たとえば、借金以外に住宅ローンや自動車ローンを抱えている場合、ローン以外の借金をすべて減額し、以後の利息をカットすることで返済の負担がかなり軽減されます。逆に言ってしまえば、住宅ローンに苦しんでいる場合には個人再生は適さないでしょう。

そのほかにも、士業や会社役員で職業資格を失いたくない場合や自己破産が認められるか分からない場合には個人再生を利用したほうがいいでしょう。

ここで述べている条件がすべてではありませんが、このような場合には個人再生を検討してみるのも1つの手でしょう。ただし、個人再生は、借金の減額計算や手続きがそのほかの債務整理よりも複雑になっています。必ず、司法書士などの専門家に相談した上で個人再生を行うかどうかを決めるようにしましょう。

個人再生をするときの注意点

最後に、個人再生で注意すべきことなどを分かりやすく説明します。

(1)再生計画案はしっかりと立てる

裁判所に提出する再生計画の案は、きちんと時間をかけて立てるようにしましょう。この案が裁判所に認められなくては借金を減額することはできません。個人再生を行うためには時間やお金を費やすことになりますので、棄却され何度もやり直しをはかるのは無駄な行為です。1度の債務整理で借金を解決できるようにしましょう。

再生計画を立てるためには、司法書士などの専門家の意見を聞くのが最善策です。債務整理の無料相談などを利用するだけでも失敗するリスクを大幅に減少させることができます。

(2)必ず返済をする

当たり前ですが、個人再生を行ったあとは、必ず返済をしましょう。裁判所に認められた再生計画が行き詰まってしまった場合、この再生計画は破棄されてしまいます。そうなると、減額された借金は元に戻ってしまい、利息金も発生してしまいます。

3年間での返済が難しい際には、計画の見直しということで5年間まで延長して変更を申し立てることができます。さらに5年間に延長してもなお難しいようであれば、一定の要件を満たしていればハードシップ免債を申し立てることも可能です。しかし、このような救済措置がとれるのは、きちんと返済をしており、返済が滞る前に対処するのが大前提となっています。間違っても無断で返済が遅れてしまうようなことがないように注意しましょう。

ちなみに、ハードシップ免債とは、破産手続きを申し立てなくても残りの借金を免除してもらえる制度です。この要件は以下の通りです。(民事再生法235条)

・再生債務者がその責めに帰することができない事由により、再生計画を遂行することが極めて困難になったこと(病気やけが、リストラなどで失業した場合など)
・再生計画によって変更された弁済金額の4分の3以上の弁済をすでに終えていること
・ハードシップ免債の決定をすることが、債権者の一般の利益に反しないこと(再生計画認可時に自己破産をしていた場合に予想される配当額よりも多くの返済が行われていること)
・再生計画の変更をすることが極めて困難であること

ハードシップ免債が認められるための要件は非常に厳しくなっており、該当する事例もあまりありません。万が一、返済が困難な状況に陥った場合には、司法書士などの専門家によく相談した上で申し立てる必要があります。

(3)事故情報に記載されて(ブラックリストに載って)しまう

個人再生をすると、そのことが信用情報機関の管理する事故情報へ記載されてしまいます。これは、一般的に「ブラックリストに載った」と呼ばれる状態で、新しく借金をしたりローンを組んだりする際の審査に大きく影響してしまいます。個人再生の場合には5~10年間は事故情報が削除されません。

しかし、個人再生の場合は、最低でも3年間は借金の返済が続きますので、新たな借入れができないということは借金を増やす心配がないということでもあり、よくいえばメリットだともいえます。ブラックリストだからといって必要以上にストレスを抱えなくてもいいでしょう。

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