家族の借金問題、本人以外でも解決できるの?

家族の借金問題、本人以外でも解決できるの?

家族の借金問題を解決したい!

借金の返済に苦しんでいる人は、毎回の返済のことばかりに気をとられてしまい、自分の陥っている状況を客観的に見たり、借金そのものを解決する手段を考えたりまではできないものです。特に、家族に借金を秘密にしたいと考える人は多く、家族が借金のことを知った時にはもうすでに莫大な金額に膨れ上がっている、という場合も少なくありません。

このような事態に陥ってしまうと、借金をしている本人だけの力では返済していくことはできず、家族が借金問題の解決に乗り出すことになります。借金を解決するためには債務整理という手段が一般的ですが、債務整理は本人以外でも手続き可能なのでしょうか。

 

本人以外の債務整理は不可

結論から言ってしまえば、本人以外が債務整理をすることは不可能でしょう。
借金の情報というのは個人情報にあたりますので、たとえ家族であっても本人の許可なく教えてはいけません。そのため、債務整理を行う時に必要な書類(取引履歴など)を取り寄せることができないので、本人以外が手続きを進めることはできないでしょう。

司法書士などの専門家に依頼する場合には、代理人としてすべての作業を行ってくれますが、依頼の際には必ず本人と面談をすることになっています。

家族の借金問題を解決する方法は?

家族の債務整理を本人以外が行うことはできませんが、なんとか家族の借金問題を解決する方法はないのでしょうか。
実は、委任状を使用することで、貸金業者との交渉をすることは可能です。弁護士や司法書士以外が報酬を受け取って代理交渉を行うのは違法行為にあたりますので、あくまで無償で引き受けることが前提となります。

貸金業者と借金返済の条件を直接交渉する方法を任意整理といいます。任意整理も債務整理の一種ですが、裁判所への手続きなどが不要な代わりに借金元本の減額などはできず、発生している利息金や遅延損害金の支払いの免除、将来発生する利息金をカットしてもらう、といった交渉を行います。

ですが、貸金業者が素人相手の交渉でどこまで条件を飲んでくれるかは分からず、専門家による任意整理よりもきびしい交渉になることが予想されます。

結局のところ、借金をしている本人でなくては債務整理を行うのは難しいでしょう。特に、自己破産や個人再生のような法的な強制力をもった手段をとりたい場合には、債務者本人が司法書士などの専門家に依頼しなくては手続きを開始することすらできません。一度依頼をしてしまえばすべての作業は専門家に任せてしまえるので、なんとか本人に相談に行ってもらうように仕向けなくてはいけません。

本人以外が依頼できるケース

基本的には債務整理などの借金解決の手段は本人の意思によって行われるものです。しかし、それは本人の意識がはっきりとしている場合の話であって、例外的に裁判所で後見人として認められるケースもあるのです。

例えば、債務者本人が高齢のため自身で判断できない場合や、病気などにより自分で依頼することができない場合には、家庭裁判所に後見人を選任してもらうことで、親族でも債務整理の依頼をすることができます。

債務者が死亡してしまった

家族の借金問題でも、債務者が他界して家族が借金を相続した場合はまた話が違ってきます。
遺産相続といっても、不動産や現金などプラスになる遺産ばかりでなく、個人の借金も遺産相続の対象となります。相続する順位や配分は、ケースによりますが、基本的には以下のようになります。

  • 1、配偶者は常に相続人である。
  • 2、配偶者以外は次の順番で相続する。
  • 第一位:子
    第二位:被相続人の父母、祖父母
    第三位:兄弟

     

    借金を相続したくない場合には?

    亡くなった方がご主人であれば、まずはその妻が相続し、子供がいる場合には半分ずつの相続となります。個人の借金があまりに大きく、プラスになる財産よりもマイナスになる財産が多い場合には、「相続の放棄」が可能となります。相続の放棄を行う場合には、資産もすべて放棄する必要があります。

    相続放棄は、“自己のために相続の開始があった時”から3カ月以内に、家庭裁判所に書類を提出しなくてはいけません。「自己のために相続の開始があった時」とは、自分が相続人であることを知った時ということですので、その時から数えて3カ月となります。

    ちなみに、相続の放棄をする前に遺産を処分したり、相続放棄したにもかかわらず一部の遺産を隠していたりした場合には「法定単純承認」とみなされ、遺産相続を承認したものとし、借金の放棄もできなくなってしまいます。

    また、個人の借金に保証人が付いている場合には、借金は保証人が支払うことになります。この場合には、相続人は、その保証人が本当に借金返済できるのかどうかを確認するようにしましょう。

    相続する借金も資産もたくさんある場合には?

    借金が多ければ相続放棄すべきですが、相続できる資産も多い場合には、放棄と相続のどちらが得なのか分からないこともあります。このようなケースでは、「限定承認」という方法を選択することができます。

    限定承認とは、相続で得た財産を限度として、相続債務などを弁済するという留保をして相続を承認することです。つまり、相続した遺産の範囲内で借金を返済することになるので、相続放棄しなくてもマイナスにはなりません。限定承認も相続放棄と同様に、3カ月以内に家庭裁判所へ書類を提出しなくてはいけません。

    金銭的な理由だけではなく、家族の思い出が詰まっているこの家を守りたい、といったような理由から限定承認を利用する人も少なくありません。限定承認には、相続する財産の評価や競売、債務者への弁済といった複雑な手続きが多くあります。家族が他界すると、葬式や遺品の整理、保険の手続きなど、しなくてはいけないことも多くありますので、一人で抱え込まずに、司法書士などの専門家に相談して負担を軽減するようにしましょう。

    借金を相続する場合には

    借金を相続する場合には、どのようなことをすればいいのでしょうか。貸金業者などの債権者の言うままに返済を開始して大丈夫なのか、確認すべきことはあるのかどうかをチェックしていきましょう。

    (1)相続した借金の状況を調べる

    まずはどこからいくら借りているのかを調べましょう。すでに完済している借金に関しても、過払い金が発生している可能性がありますので、最終取引日(返済・借入した日)から10年以内のものに関しては漏れがないように調べることをおすすめします。

    借金の状況を調べる方法としては、契約書や利用明細書、キャッシングカード・クレジットカードを探したり、預金通帳の引き落とし履歴を見たり、信用情報機関から信用情報を取り寄せたりするといいでしょう。

    (2)過払い金の有無を調査する

    すべての貸金業者との取引履歴を入手して、過払い金が発生していないかどうか、正しい金利での引き直し計算を行います。自分で行うこともできますが、複数の取引がある場合には司法書士などに相談した方が確実でしょう。

    (3)完済・返済中の借金の相続人を決定する

    相続人が複数人いる場合には、完済した借金、返済中の借金は誰が相続するかを決定します。特定の人が相続するか、全員で等分して相続するかということになるのですが、これによって、過払い金に関してもおのおので請求する・全員で請求する・代表者1人が請求する、というように請求方法を選択することになります。

    ちなみに、相続した借金の過払い金返還請求には以下の書類が必要となりますので、併せて覚えておきましょう。

    • ・被相続人の戸籍(出生から死亡時までのもの)
    • ・相続人全員の戸籍
    • ・遺産分割協議書(印鑑証明付き)
    • ・委任状(司法書士などの専門家を併任する場合)

    (4)住宅ローンの場合には団体信用生命保険を確認する

    相続した借金の中に住宅ローンがある場合には、団体信用生命保険に加入していないかどうかを確認しましょう。この保険によって、債務者が死亡した場合には生命保険によって住宅ローンが完済するしくみになっています。

    いざ借金だと思っていた相続が、実は数千万円のプラスの遺産に化ける可能性があります。団体信用生命保険への加入を確認せずに相続放棄をしないように気を付けましょう。

    債務者が死亡してしまうと、その借金の状況がどうなっているのかを調べるのはとても大変です。家族に借金を秘密にしている人も多いため、死後になって借金があることが発覚するケースも少なくありません。

    借金返済に苦しんだまま、死後も家族に面倒をかけるよりも、生前に自分の借金をきれいにしておいた方が手間もかからずにすみます。借金問題は、なるべく早く、本人が解決するのが一番でしょう。

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